懲りもせず、恋する私
どこで調べたのか、
私の携帯に、百貨店の専務
言う男の人から
電話がかかってきた。

話があると。

呼ばれた場所は、
立派な料亭だった。

「失礼します。佐伯です。」
「君が、佐伯つぐみさんかね。」

「単刀直入に言う。藤倉くんとは
別れなさい。それなりの謝礼は
お渡しする。」

「なぜですか?そんなもの受け取る
意味がわかりません。」

「みどりとの結婚話が出ている。
君には悪いが、身分相応と言うものが
あるだろ。」
「彼のこと思うなら、別れなさい。君が
うんと言ってくれなければ、
Queenがどうなるかなぁ?」
「会社が?どうなさると?」
「潰す。君の答え一つだよ。」
翼…。あなたを苦しめる事など
私にはできない。

「わかりました。」
「物分りがいいね。ほれ、謝礼だ」
「そんなものいりません。ただ、
会社を潰すなど、
絶対に止めてください。」
私は、
料亭を飛び出した。
思い切り走り、
細い道で
「つばさ〜〜。うっうっ…ああ!ごめんね。うわーん…」
涙が地面を濡らした。



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