懲りもせず、恋する私
とにかく、つぐみが心配だった。

外に出て、
つぐみを探した。
まだ、そんなに遠くには…。

そこには…。


「あれ?佐伯さん?つぐみちゃん?」

「あっ、板野さん。」
「どうしたの?まだ、勤務中だよね?」
「少し、体調が…。早退したんです」

「確かに…。顔色良くないね。
1人で帰れる?」
「は、い、平気で…」
クラっと揺れる身体。
「あぶない、ダメだ。ほっとけないよ、
送る。」
「すみません…」
彼女を車に乗せ、走り出した。

助手席で下を向いたまま無言。
「何かあったの?」
ポタポタっとスカートに滲む涙。

「泣くなよ。何があったのか聞かないけど…。君を苦しめるヤツなんて忘れて
俺にしないか?」
車を端に止め、
彼女を抱き寄せた。
「わたし…。うっ…」
「家?どこ?」
「帰りたくない…」
「じゃ、ドライブしようか」
走り出した車は、
潮風が心地よく吹く
海岸沿いの
公園。

「はぁ〜〜。すみません。」
「気にしないで。あのさ、つぐみちゃんさえ良ければ、俺と付き合って欲しい」

「…。あの、わたし…。今は…」
「うん、答えは急がなくていいよ。
ゆっくり考え…」
「はい…」
「せっかくだから、この近くの
カフェでごはんしてくか!」
ただ、頷いた。
楽しい話をしてくれ
笑わせてくれる板野さん。
「板野さんあの…」
「秋でいいよ。シュウって呼んで」
「シュウさん。」
「さんは…いらないな?」
「ふっ、シュウ」
「笑った。やっぱり…つぐみちゃんは
笑顔がいいよ。」
シュウの優しさに
感謝した。
< 44 / 66 >

この作品をシェア

pagetop