懲りもせず、恋する私
マンション近くまで
送ってもらい

「シュウさん、
ありがとうございました」
「こら、さんは…いらない」
「ごめんなさい」
「じゃ、またね」
マンションのエレベーター
ボタンを押す。
チン、
乗り込もうとした。
「はぁ、はぁ…つぐみ」
「翼…」
「なんだよ。連絡しても繋がらないし
心配するだろ」
「ごめん。翼…別れよう」
「はぁ?馬鹿言うな!」
「翼は、会社を守らなきゃ。聞いたよ。
跡継ぎだって…私じゃ、ダメだよ」
「つぐみ…。そんなの、うんって言うと思うか!」
強く抱きしめられ
動けない。
「は、離して…。私、シュウさんと
付き合って幸せになるから…」
「…。ふざけんな!!俺は…つぐみしか
愛せないんだよ!!いい加減わかれよ!
あいつに、お前を渡さない!」

「それは…つぐみちゃんが決めることだろ?翼!はなせよ!」
「なんで…お前が」
「つぐみちゃん、忘れ物だよ。」
それは、私のハンカチ。
「あっありがとう。シュウ」
「つぐみ…」
「翼…。さよなら」

静かに閉まるエレベーターの扉。

「つぐみ…。つぐみ…」
フラフラで会社に出勤し
ただ…時間だけが過ぎて行った。

つぐみは…しばらく休暇を取って
姿を見せていない。
内線が鳴り
俺は…
「翼!!お前を見損なった!」
「オヤジ…。最近のお前はなんだ!
腑抜けか!」
「俺は…。こんな会社!いらねぇよ!」
「話は、河原さんから聞いたよ。
彼女、私に直談判しに来た。」
「つぐみ…は、翼…課長を思って
身を引いたと…。私は、お前が
美山さんをすきで結婚するものと
思っていた。しかし、違った様だな。
会社を潰す?ふざけた事を。
我が社は、甘く見られたものだ。
お前には、話してなかったが
アメリカの大手化粧品メーカーから
うちの商品を
扱わせて欲しいと言われてな。
今や、日本の化粧品は、質も良く、
クオリティーが高いと評判だ。
我が社の基礎化粧品は、
添加物を一切使わない自然化粧品。
サンプルを送ったところ、
非常にいい反応でな。
お前に、2ヶ月ほど、向こうに行って
話を詰めて契約してきて欲しいんだ。
それが成功すれば、
あんな。美山など、こちらから
手を切る。」
「2ヶ月。」
「お前の力見せてみろ!今が正念場だ
やれるか?逃げるか?」

答えは決まってる。
「行くよ!必ず契約取ってくる!オヤジ!つぐみを…頼む。」
「まかせろ!何も心配ない。
頑張って来い!」

そして…。
俺は…アメリカへと出発した。


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