ノラへの伝言
待ち合わせ5分前、心臓がマックスにバクバク鳴った。 りことは学校でいつも会っているのにここまで緊張する俺は自分が情けなかった。2分前、「ごめん待った?」 りこの声がした。後ろから登場か。 振り返るとりこがいた。白のコート姿。髪はアップにしていた。化粧してるのか?あまりにも大人っぽくてびっくりした。中学生とは思えない色っぽさだった。 俺は自分が幼く感じて恥ずかしくなった。きれいめの服を着ればよかったと後悔した。「電車もう来るよ。いこっ!」 りこは俺の手を繋いで走った。今、今確かにりこと手を繋いでいる。二人で走って電車に乗り込んだ。電車の中でもりこは手を離さなかった。 このまま時が流れなければいいのに。ずっと繋いでいたかった。