ノラへの伝言
卒業
りこがいないまま卒業式を迎えた。 クラスの誰もがりこがいないことをたいして気にしていないことに俺はいらだっていた。りこは風のようにやってきて風のように去っていった。何もできなかった俺、守れなかった俺、悔しかった。 りこ、今どこにいるんだ?会いたい、会いたい、会いたいよ。 式が終わって皆写真をとったり卒業ボタンのやりとりをしている。 記念写真に入れとクラスのやつらに言われたけどそんなテンションになれなかった。「ボタンちょうだい!」えりこがやってきた。 俺はりこにあげたかった。「第2ボタンじゃなくていいから・・それぐらいいいでしょ!」しつこいのでえりかに第1ボタンを渡した。 「ありがとう」えりこは嬉しそうに言った。 俺は疲れ果てて校門をでた。「誠也!めしいくぞ」 親父と兄貴だった。 その時少しだけ救われた。家族のあったかさを感じた。