72億分の1
休憩も終わり仕事に戻る。
今日締め切りの デザインが完成したが 何か欠けているように思える。
(なんだろう…ヤング向けの文房具のデザインがなんか物足りないなぁ。)
自分が納得するまで修正を加え 気付けば午後6時前。就業時間が6時だから ギリギリ締め切りに間に合った。
(あぁ。他の仕事まで手が回らなかったなぁ。少しやって行くか。)
「あの。すみません。」
「…カチカチカチカチ…」
「すみません!鈴風 渚沙さん!」
「…はいっ⁉︎」
午後7時。デザイン課の人達はすでに皆帰っていた。集中しすぎて全く声が聞こえてなかった。
「すごい集中力!結構呼んだのに全然聞こえてなかったですね。」
「申し訳ありません!……私に用事ですか…?」
「営業課の柏木 蒼介と言います。社員証を届けにきました。」
「…社員証?」
ハッとして急いでカバンの中を探す。
「昼間ぶつかった時に落としてましたよ。」