真実の愛のカケラ
「おっきいねー!
水族館なんて久しぶり」


視線の先では、大きな水槽の中で魚たちが優雅に泳いでいる。
すぐ目の前を海ガメがゆったりと横切っていく。


「初めて来た。
実際見てみるとすっげー迫力なんだな」


「初めてなんだ?」


「子どもの頃は両親とも忙しくて連れて来てもらえなかったし、大人になって来る機会もなかったから」


「初水族館はどう?
楽しい?」


ヒョコっと微笑みながら顔を見上げてくる動作は、なんとも愛らしい。
でもそれに照れてしまうのが悔しくて、つい言い返してしまうんだ。


「楽しいよ。
柚希がいてくれるから」


「…っ、なら、よかった」


自分が出し得る最高に甘い声でからかうと、案の定顔を真っ赤にして目をそらす柚希。


柚希はやめてと言うかもしれないけど、この反応は癖になる…。
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