真実の愛のカケラ
「ふーん…」


トタトタとその子は俺の方に近づいてくる。


お…、なんだ?


まさか、この子にもわかってない、とか言われるんだろうか。
そんな曇りのない瞳で言われたら、暫く俺は立ち直れる自信がないぞ。


そんなふうに恐れていると、俺の目の前で止まり、くるりと回って柚希の方に向き直った。


「でも、お兄ちゃんかっこいいから、やっぱりお兄ちゃんの味方するー」


「え、嘘でしょ…」


落胆する柚希をよそに、女の子は俺に笑いかけてくる。


よくわからないけど、形勢は逆転したらしい。


「ありがとうな」


ぽんぽんと女の子の頭を撫でると、満足そうにまた笑っている。


「そんな小さな子まで手玉にとるなんて…!
なんと罪深い」


こら。
何が出玉にとるだ。
変な言いがかりをつけるな!
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