真実の愛のカケラ
女の子と別れた俺たちは、水族館を後にした。


「なんだかんだ付けるんだな」


「そりゃあ、ねー?」


揺れる助手席で、柚希はイルカのキーホルダーを携帯に付けようとしていた。


「せっかくだから付けないと。

拓哉も、あのボールペン使ってよね」


「あぁ…、機会があればな」


それぞれ買いたいものを買い、キーホルダーもボールペンもお揃いとなった。


「それ絶対使うつもりないでしょ!」


使わないと心に決めた訳じゃないけど、あれを使うにはそれなりの覚悟と勇気がいる。
副社長室のペン立てにあいつがいたら、すっげー浮く!


柚希はさっそく明日から会社に持っていきそうだ。
まぁ、似合うからいいんだよな…。


暫く車を走らせて、日が完全に沈んだ頃に着いたのはほのかな灯りに照らされた、暖簾のかかった和な雰囲気の建物。
ここが柚希を連れてきたいと思った寿司屋だ。
< 112 / 240 >

この作品をシェア

pagetop