真実の愛のカケラ
俺は無意識のうちに、おそらく衝動にかられて、柚希の頭にぽん、と軽く手を置いていた。


「けっ、こっちがごちそうさまだよ。
見せつけてくれちゃってさー。
なんなんだよ。


でも、拓哉忙しいからあんまり会えないんじゃないか?」


「会えないですね…」


「そうだな。
これからは会社で顔を合わせることの方が多くなるかもしれない」


「会社?

え、宮野さんって拓哉の会社で働いてんの?」


「はい」


「そうなんだ。
それはまた…大変だな」


チラッと直樹がこちらに視線を送るので、俺も一瞬目を合わせる。
さすがは幼馴染み。
伊達に長い付き合いをしてきたんじゃない。
視線だけで俺の言いたいことは伝わったらしい。
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