真実の愛のカケラ
会社でも下っ端の私たちは、ホールから全員が退場するのを待ってからオフィスに戻る。


「そういえば、福井さんが言ってた柚希さんの秘密って何だったんですか?」


「あー…あれな。
なんか、俺の勘違いだったっぽい。

な、宮野?」


「え?
あぁ、そう…」


話を合わせろ!と物凄く目で訴えてくるから、訳もわからないまま頷いた。
けど、本当になんだったの?


「福井さんってそういう所ありますよねー。
早とちりっていうか、確認がイマイチっていうか」


「おい、それ仕事のことを言ってんのか?
菊地、お前後輩のくせに生意気なんだよ」


そんなこと言っても、2人とも仲が良いんだから。
いっつも言い争いをしながらも笑い合っている。
というか、息が合っている。


もしかして…付き合ってる、とか?
いや、そういう雰囲気は感じたことないけどなぁ。
お互い苗字で呼びあってるし…。
あ、それは私と拓哉も同じか。


んー…。
後で個別に聞いてみよう。


心のなかでニヒヒと笑いながら2人の後を追う。
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