真実の愛のカケラ
それを俺に相談?
まさかな。
ただ愚痴ってるだけか。


「盛り上げるって、どうしたいんですか?」


「もっと若い力を求めて、育成するべきだ」


若い力って…。
俺ら位の、もしかしたら俺らより何個も下の奴らを雇うってことなのか?
たしかに、ここの部署以外にも若い人材が必要な所はあるんだろうけど…。


「今の経営理念とは随分違う気がしますが」


「正反対だな。

でも、成熟した人ばかりを本社に引き抜いてたんじゃ、脳が凝り固まった人で会社が埋め尽くされてしまう。
それじゃあ、ライバル社とやり合えない。
何より、お客さんに喜んでもらえる案を出せない」


「それを提案して、却下された訳ですか」


「あぁ、そうだ…」


柵にもたれかかって落ち込んでいる。


なんか…イメージと違う。
俺の中の能見拓哉は、ルーズでもっと保守的で、客のために会社を変えようなんて絶対に考えないような男。


なのに、なんでだ?

< 133 / 240 >

この作品をシェア

pagetop