真実の愛のカケラ
「スラッとした身長も、甘いマスクも、低い声も。
あとはやっぱりお金持ちってとこ。
結婚できれば幸せ間違いなしですもん!」


結局はそこなんだな。
まぁそうなるか。
大塚さんが副社長の性格を詳しく知ってたらそれはそれで問題だ。


今日話してみて思ったけど、副社長は…。
いや、能見拓哉は副社長よりも変わった人間だと思う。
だとしたら、大塚さんや他の女性が心奪われてるのは副社長であり、能見拓哉ではない。


「そんなに期待して、幻滅するかもよ」


「はぁ?幻滅?
そんなのあり得ませんよ!」


少し低めの声でキッと睨まれる。
うわ、怖…。


恋してたら、周りが見えなくなるもんなんだな。
教えてとか言ってた割に、俺の言葉なんか完全にシャットアウトじゃねーか。


「福井さんって、副社長の連絡先知ってたりするんですか?」


「それはまぁ、知ってるけど…。

いや、教えねーよ?」


「なんでですかー?
福井さんから聞いたっては言いませんから」


笑った目で必死に俺の携帯を探している。
手段を選ばないつもりだな、こいつ。
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