真実の愛のカケラ
うっとりしていると、どこからか名前を呼ばれた。


「大塚さん!」


「あ、あぁ!
おはようございます」


かなり自分の世界に入り込んでしまっていた。
福井さんの呼び掛けに気づかないなんて、恥ずかしすぎ。


「すっげーボーッとしてたぞ?
昨日飲み過ぎたのか?」


「えぇ、まぁ。
でも大丈夫です。

はい、これ」


今日返すと約束していた携帯を福井さんに渡す。


「悪いな、ありがとう。

…で」


不意に私に向けられる疑いの眼差し。


「な、なんですか?」


「預かっといてもらってこんなこと言うのあれなんだけど、携帯の中身とか見てないよな?」


ギクッ!
なんで?
携帯に何か細工でもしてあって、私が色々見たことがバレたっていうの?
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