真実の愛のカケラ
24日のお約束
12月。
冷えきったアパートに、今夜は久しぶりに拓哉がいる。


「こんな寒くてもベランダで飲むんだな」


「当然でしょ?
でもほら。ホット梅酒だよ」


頬にぺたりとくっつけて温かさを伝えてみる。


2人でコートを羽織ってベランダでお酒を飲む。
温かい部屋でまったりするのもいいけど、寒いねっていいながらくっつくのも悪くない。
だけど、こんな時間が最近では貴重になりつつある。


付き合ったばかりの頃は、すぐ目の前で拓哉が働いていたのもあって、毎日のように会えていたのに。
同じ職場に勤めるようになってからというもの、ほとんど会えない。
拓哉も毎日忙しくしている。
出張とか会食とか会食とか会食で。


副社長というのは、私たちのような社員とはまた違った大変さがあるらしい。
相手は違うんだろうけど、会食ばっかって飽きそう。


それに私だって拓哉と一緒にいたい。
イルカとチンアナゴでは限界があるのだよ…。
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