真実の愛のカケラ
すごい。
満員電車が全く苦じゃない。
外の寒さが痛くない。


「ふーくい!」


前方に福井を見つけて駆け出しちゃうんだから、本当に私には困ったものだ。


「おはよ!」


「おはよう。
あー、さみっ。
なんでそんなに元気なんだ?」


腕を組んで寒そうにしている。
私を見る目は若干鬱陶しそう。


「いつも通りだよ。
福井は元気ないね。
どうかしたの?」


「昨日居酒屋に携帯忘れてきて、不安な夜を過ごしたんだよ」


「え!
大変だよ」


「一緒に飲んだ人が持ってきてくれるみたいなんだけど、何て言うか…。
その人が不安要素なんだよなぁ…。


…ドスケベって登録してるしバレてないよな。
とりあえず俺のささやかな仕返しのお陰で連絡先は盗まれてないはず…。
本人にこんな登録名バレたら恐怖だけど」


「なにボソボソ言ってんの?」


後半は何を言ってるのか全く聞き取れなかった。
たぶん大したことじゃないんだろう。
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