真実の愛のカケラ
アパートに到着したのは1時近くになってから。
外から見る限り柚希の部屋は真っ暗。


呼び鈴を鳴らしても応答は無し。
携帯をかけるもこちらも応答無し。


…ったく、どれだけ待たせるつもりだ。



気がつけば、もう東の空が明るくなり始めた。
部屋から出てくる気配もないし、帰ってくる様子もない。
友達の家にでも行ってるのか?


こうなって初めて思った。
俺は全然柚希のことを知らない。
柚希の行きそうな場所が何一つ思い浮かばない。
一体どこに隠れているんだ。


あちこち探し回り、一旦家に帰ってきたが、結局何も情報を掴めないまま1日が終わった。


相変わらず電話は繋がらないし。
かかってきた電話といえば、祖父さんからの明日の見合いには必ず来いという念押しと、仕事関係のものだけ。



駄目元でもう1度かけてみる。
…!
今までとは違い、ちゃんと呼び出し音が鳴っている。
柚希が電源を入れたんだ。
そんな喜びも束の間、ただ鳴り続けるだけで通話はできそうにない。


完全無視か…。
やってくれるな。
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