真実の愛のカケラ
あーあ。
何もしたくない。
これからのことも考えたくない。


次の日には少しだけ動けるようになった。
ベランダに出て太陽の光を浴びる。
目の前には道があってすぐ奥に狭い川が流れている。
このせせらぎは、いつ聞いても私を安らげてくれる。


そういえば高校生の頃もよくこんなふうにベランダから川の音を聞いてたな。
それでたまらなくなって川まで行っちゃったりもしてたっけ。
ここからの景色は昔と何も変わらない。


…あの頃の私に。
拓哉に出会う前の私に戻れたらこの胸の痛みは綺麗に無くなってしまうのにな。


そうなれば楽なのに、それを望まない私がいるのはどうしてかな。
こんなにつらいのに、忘れたくないって思うのはなんでなんだろう…。


ここに戻ってきて正解だったなぁ。
アパートにいたら拓哉に会いに行ってしまう。


…いや、嘘。
本当はここにいても会いたい。
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