真実の愛のカケラ
冷たい月を眺め、川のせせらぎを聞きながら梅酒をいただく。


昨日に比べたら今日は少しだけ気分的にましになってる。
こうして日が経つごとに普通に生活できるようになって、心の傷も癒えて、あの時はあんな彼氏がいたなぁ、なんて話せる日が来るのかな…。


そういえば今日、拓哉はお見合いしたんだよね。


…嫌だ、考えたくない。
そう思うのに、勝手に頭が話を組み立てていく。


相手はきっと、家柄も最高に良いところのお嬢さんでしょ?
お見合いの席では最初はギクシャクしてても、あとは若いお二人でなんて言われたりして…。
そんな空間になったら拓哉はきっと何か話さなきゃって思って、そしたらその話が意外と盛り上がって…。
私のことなんか頭の隅からも追い出されちゃって…。


今も2人でいるのかなぁ…。


…なんでただでさえ辛いのに、更に自分を追い込んでるの?
こんなの自傷行為に近いよ。


「ははっ…」


心がめちゃくちゃで笑いがでる。
なのに目からは滴が落ちる。


「もう、…意味わかんないし」


グビグビと梅酒を流し込む。
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