真実の愛のカケラ
「柚希のお父さん迫力ありすぎ。
ビビったよ」


拓哉からお父さんを引き離した私は、何故かそのまま拓哉に捕まり河原に2人して座っていた。


「あのね…」


「祖父さんに色々と言われたんだろ?
掟がどうとか、付き合ってたら俺のためにならないとか。

掟のことは破ったつもりはないけど、そこは根気強く説得するとして…。
俺のためかどうかなんて、決めるのは俺だろ。
祖父さんじゃない。


柚希…、俺は2人が良ければそれでいいなんて無責任なことは言えないけど、今の俺達に別れる理由なんてないと思ってる。


柚希はどう思う…?」


「そんなの…」


別れたくないに決まってる。
だけどこうなった以上、本音をさらけ出すのが怖い。
このまま自分の中に留めておいて、誰にも見られないようにしておいた方がいいんじゃないだろうか。


何とか誤魔化そうと拓哉の目を見たとき、その真っ直ぐで綺麗な瞳に捉えられてしまった。
こんな真剣な眼差しに、私の本音は心の奥底から引きずり出された。


「別れたくなんてないよ!

昨日も今日も、拓哉のことで頭がいっぱいで困ってるのに…。


…離れられるわけない」


押さえつけていた自分の気持ちを届けてしまった。
もて余してしまうこの気持ちを、わがままだけど受け止めて欲しくて、すがるようにぶつけた。
< 205 / 240 >

この作品をシェア

pagetop