真実の愛のカケラ
うん…。
俺がここにいることが柚希の両親に知られたからには、このまま帰るのも違う気がする。


「俺、このままじゃお父さんに娘をたぶらかしてる男って思われたままだし、少しだけお邪魔しようかな」


「ちょ、ちょっと待って!
本気で言ってる?」


「うん」


「嘘でしょ…」


柚希はかなり嫌そうな顔をしている。


「だって…、きっと、いや絶対、根掘り葉掘り聞かれるよ?
私が答えないのわかってるからここぞとばかりに!

いつから付き合ってるの?
どっちから告白したの?
出会ったきっかけは?
どういう所が好きなの?
初デートは?
それだけじゃなくもっともっと…!」


「別にいいよ。
全部答えられるし」


その質問に関しては何も問題ない。
それが嫌でそんなに焦ってるのか。


「え、こたえるの?」


声が裏返っている。
ドキドキしてるんだろうなって、見ていて面白いくらいにわかる。


一呼吸おいて、若干困ったように視線をこちらに上げた。


お…。
不覚にもドキッとしてしまう。


「わ…わかった。
行こう」


そういう訳で家にあがらせてもらったのだが…。
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