真実の愛のカケラ
「さてさて」


梅酒の入ったコップ片手に、ベランダへと出る。


少し冷たい夜風を受けながら、行き交う車を眺めてまずは一口。


「ぷはー!」


この瞬間がたまらない。
私の至福のひとときだ。


この瞬間のために仕事を頑張っていると言っても過言ではない。


そんな日課に、最近変化が訪れた。
このベランダから眺めるものが増えたのだ。


今夜も眺めるそれは、向かいにある私が勤める会社が経営するフレンチレストランでバイトをする男性スタッフ。


この時間はいつも閉店後の掃除をしている。
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