真実の愛のカケラ
そこで、今まで状況をただ見ていた柚希の父親が口を開いた。


「柚希を東京に連れ戻そうとして来たんだろうが、そもそもどうして柚希はこっちに帰ってきたんだ?

もしも柚希を泣かせた理由がお前にあるなら、東京に戻すわけにはいかない」


「は!?
泣いてないし!」


すぐに柚希の修正が飛ぶが、気にしていない様子。
柚希の父親、お酒が入ってるのになんて鋭いんだ。


「わざわざスーツでなんてね。
まるで…」


母親は妙に意味を含めた言い方をしてニヤリとしている。
父親の顔が更に険しくなった。


まるで、結婚のあいさつみたい。
そんなふうに頭のなかで繋げたのだろうが…。


やばい!
この父親なら、怒鳴られて追い出されてもおかしくない!


そう思って身構えるが何も起こらない。
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