真実の愛のカケラ
そして、もう1度その子を目でおった時にはもういなくなっていた。


うわ、もしかしたら私を見てたんじゃなかったのかも。
この辺にあった何かを見てただけかも。
だとしたら、めっちゃ自意識過剰じゃん!
恥ずかしい!


そりゃそうだよね。
私なんて見る価値ないもんね。
それくらいわかってるよ。


「ベランダで飲んでて寒くねーの?」


あ!


沈んだ気持ちが一気に跳ね上がる。


ベランダから見下ろすと、そこにはさっきまで眺めていた男性スタッフが、制服からラフな私服姿に変わって立っていた。


「拓哉おかえりー。
寒くないよ、むしろ暑いくらいかな」


そう返すと、拓哉は短く笑ってアパートの階段へと移った。
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