真実の愛のカケラ
「拓哉、そういえばね、おばあちゃんがよく力に屈するなって言ってたの。
今まで、体を鍛えなさいっていう意味で言ってるんだと思ってたけど、もしかしたら…。

権力とかそういう力に負けるなって言ってたのかもしれない。

おばあちゃんは、会長には逆らえたけどそれよりも大きな力には屈してしまった」


「でも、2人がもしも駆け落ちしてたら…」


私たちは生まれてなかっただろう。
出会う以前の問題だ。


「2人の恋が叶わなくてよかったなんて思わないけど、そのお陰で今の俺達があるのは事実だ」


拓哉の言う通りだ。
会長とおばあちゃんの出来事があったからこそ、今の私達がいて、会長にも認めてもらえた。


私達が一緒にいたいから一緒にいるんじゃなくて、まるで一緒にいるべくしてそうなっているような。
たくさんの人に支えられながら、その道に導かれた運命のような…。


だからこそ、大切にしなきゃいけないんだ。
この巡り合わせを。
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