真実の愛のカケラ
嘘でしょ!?
この状況でプレゼンなんて、勘弁してほしい。


「あ…はい」


泣く泣く返事をしたけど…。


プレゼンなんてできる?
拓哉と社長っていう親子の前で?


尋常じゃなく緊張する。


資料を拓哉に渡すために近づかなきゃいけないけど、少し歩くにも耐えられないくらい足が震えている。


「あの…どうぞ」


やっとの思いで手渡す資料は、緊張で震えている。


その瞬間、こちらを見上げた拓哉と目が合ったけど、助けてなんて言えない。


ゆっくりと拓哉の手に資料が移る。


「ありがとうございます。

宮野さん、でしたよね?
能見拓哉といいます。


この資料はちゃんと読んでおきますので、今日はもう大丈夫です。
わざわざありがとうございます」


「…え?」


立ち上がった拓哉に背中を押され扉まで連れて行かれる。
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