真実の愛のカケラ
もう大丈夫だろうとほっとする。


カチン


あ…。


電気が消され、扉も閉められ、目の前が急に真っ暗になった。


男性社員2人の足音は遠ざかっていく。


「行ったみたいだな。

大丈夫か?」


すぐ上から拓哉の声がふってくる。
腕の力が緩められて、密着していた身体がほんの少しだけ離れる。


「うん。

…真っ暗だね」


足下なんて全く見えなくて、離れようにも動けない。


「ここなら誰も来ないと思ったんだけどな。
間一髪じゃねーか」


「今日1日、緊張しっぱなしだよ。

でも、会社の人に知られないようにするためには、他人のふりしなきゃいけないのかー。
できるかな…?」


つい癖で拓哉って呼んでしまってるのが簡単に想像できる。
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