真実の愛のカケラ
キスはできなかったけど、私はその余韻がまだ残ってる。
ここを出たらばらばらっていうのが、どうにも寂しい。


「柚希?」


「…」


もう少し一緒にいたいなー、なんて考えながらただぼーっと拓哉を見ていた。


「あ、なんでもない。
廊下にでたら、別々ね。
オッケーオッケー」


あれ、違った?
何故か拓哉がこちらに向かってくる。


私の前で立ち止まると、そのまま髪に指を絡められその手が後頭部にまでまわされる。
困ったように目を伏せた拓哉が視界に映った。
そのあとはわからない。


ただ、次の瞬間には拓哉からのキスを一身に受けていた。
< 53 / 240 >

この作品をシェア

pagetop