真実の愛のカケラ
「そこまで席数を減らしたら経営に支障がでるぞ。
値段も抑えるみたいだし。

女性をターゲットにするなら回転率も悪いだろ。
ここまで通路をあけなくてもいいんじゃないか?」


柚希は視線を俺に向けると、反撃の意志を示してきた。


「ゆったりしていて、お喋りを楽しめるお店にしたいんです。
長居してもらえるなら嬉しいことじゃないですか。


お客さんにも寄り添ってその人が求めるサービスを。
ここで友達の誕生日をしたいな、なんて要望があったら最高ですよねー」


誕生日だと?


若い女性をターゲットにしたレストラン。
そこで誕生日パーティー。


俺の頭の中でのイメージは、フレンチレストランで行うようなしっとりしたお祝いの時間ではなく、派手で騒がしいものだった。


「待て待て。
それはサプライズとか、そういうことか?
フレンチレストランで、スタッフがバースデーソングを歌うとか言い出すんじゃねーだろうな?」


「あ、それいいですね」


ペンを取ると、メモをしている。
この案を組み込むのか?
冗談だろ!?


これはフレンチレストランだぞ?
レストランの地位をおとしめるつもりか?
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