真実の愛のカケラ
「いい加減な気持ちで謝っても意味がないから、暫く時間をおいてるんです」


「それでいつ謝ればよいかご自身でもわかるなくなったと」


「…はい」


その通りすぎて、短く返事をするしかない。


「拓哉さんは幼い頃からフレンチに関わってきて、今では経営のことを知り尽くしたプロです。
利益のことを最優先にお考えになるのは当然のことでしょう。


しかし同じように、宮野さんもこの会社が経営する各レストランの良い点、悪い点を知るプロなのです」


そうか。
テコ入れをしてるんだから、悪い点も見えているだろうな。
だからって今までのレストランと全く違う案を、というのはハイリスクだ。


「堺さんは、柚希の案に賛成なんですよね？
その理由を聞かせてもらえませんか」


実はずっと引っ掛かっていた疑問。
何十年も高級フレンチレストランでシェフとして働いてきた堺さんが、どうして柚希の言っていることに何の反対も無しなのか。
< 72 / 240 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop