真実の愛のカケラ
「目つけられて、俺らにまで飛び火なんてさせるなよ。
たった3人の調査チームなんか、副社長にかかればいとも簡単に消せるんだろうから」


「そんなことしないよ。
この会社から調査チームがなくなったら、それなりに大変だと思うし。

あと、能見さんはまだ副社長じゃないからね」


「細かいことはどうでもいいじゃん。

それより、さっさと謝っとけよ。
意地張ってたら新店舗のメンバーから外されるぞ?

向こうは副社長で、こっちは何の権力もないただの平社員なんだから」


権力か…。
そうなんだよね。
会社に入った瞬間に私達の立場は大きく変わる。


相手が拓哉だったから、引き際が見つからなくて強くあたってしまったのかな?
仕事においては彼氏だからって遠慮しないようにって思ってたけど、結局は甘えてたのかもしれない。


謝るべきなのかな?
社会人として。


「んー…」


拓哉は、私よりもはるか上の立場の人。
顔色窺ってご機嫌とって…ってしなきゃなんないの?


「それは嫌だ!」


「おい、謝んねーつもりか!?
最悪クビにされるかもしんねーぞ!」


「謝らないつもりじゃないけど…」


変に大人な対応はしたくない。
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