真実の愛のカケラ
その時、デスクに置いていた携帯がふるえた。
画面に表示されていたのは拓哉からのメッセージ。


慌てて福井に見られないように携帯を手に取る。


「なんだよ、急に?」


私のおかしな行動を見て怪訝そうにしている。


「いや、別に…」


「別にってことないだろ。
今のメッセージ、能見拓哉って副社長だろ?
呼び出しじゃん」


うわっ、見られてた!
内容までしっかり見えてたらしい。
でも、拓哉からのメッセージだとはわかってるみたいだけど、特に怪しんではいなさそう。
見られたのが福井で良かった。


福井の言った通り、呼び出しなのかと、これ以上見られないように画面を見てみると、そこには…。
21時、第一会議室で待つ、と。


…呼び出しだ。


「なに言われるんだろうな?
謝るまで帰らせないとか?
うわー、厳しい人から説教とか、俺なら嫌だなー」


それは私だって嫌だよ!
そう言いながら福井の奴笑ってるし。
なに、人が追い詰められてる状況を笑ってくれてんの?


「いいから!
さっさと仕事しなさいよ!」


「言われなくてもやるよ!」


私のデスクから離れるようにシッシッと手で福井のことをはらう。
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