真実の愛のカケラ
「言っておくが、オープンを早めるために妥協した、なんてことではない。

…実は今日、新店舗の様子を見てきた。
レストランを利用する人はどういう人たちなのかも、この目でしっかりと見てきた。

そしたら、宮野さんがあの案でいきたい理由に気が付くことができた。
それに、これなら他の店との違いを出せるし、経営の点から見ても悪くない。


今更だけど、俺は宮野さんの案に賛成だ」


「能見さん…。


今すぐ山口さんに連絡してみます!」


電話をかける前に、少しだけ自分の心に目を向けてみる。


心は軽く、弾んでいた。


「ふふっ」


拓哉が認めてくれた。
彼が悪くないを使うときは、素直に誉められないときと決まっている。


以前、柚希は料理できないだろ、と散々バカにしたあと、私の作った料理が奇跡的に美味しかったことがある。
その時、拓哉は悔しそうに、悪くないと言った。


悪くないは誉め言葉。
そのことを知ってる私は、口もとが勝手に緩んでしまう。
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