真実の愛のカケラ
叱られてみて思ったけど、こういう厳しい面は福井が言っていた噂通りかもしれない。
副社長になったら、今よりも堂々とできるんだし、そのうち社員を泣かせる日が来るんじゃないの?


うっわー。
可哀想だな。


「なんだよ?」


そんなことを考えながら拓哉の顔を見上げていると、バレていたらしく目の端で捉えられる。


「いや、なんでもないです…」


その泣かされる相手が私でないことを祈ろう。


「設置完了しました」


そう言いながら厨房から出てきた業者の人。


と言うことは…


「完成したー!」


嬉しくて1人でパチパチと拍手をする。


待ちわびた瞬間が、目の前に広がっている。


今まで頑張ってきて良かった。
そんな達成感に浸る。


「レストランはお客さんが来てからが勝負だろ?」


「うん!」


オープンまでが待ち遠しい。
今ではもう、不安よりも期待の方が大きい。
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