彼女とウェスタンブーツと僕
彼女は酔ってくるとロックンロールと言い出した。
そして日本のバンドを酷評した。
自分達は、格好いいつもりでメイクしてビジュアル系等と言ってるが何処が格好いいの?それよりBBキングの太ったお腹の方がよほど格好いいよね。
日本にはロックンロールはないのかと聞いてきた為に僕は自分が若い頃に聴いてて今でも好きなバンドを挙げた。
彼女は、今度聴くよと答えた。
彼女は、日本に戻って数年の帰国子女だった。
若く美しいクォーターだったが、結婚していた。
彼女とは、偶然バーで知り合い身体を合わせる関係になった。
そこに、何らかの罪悪感は無く自然な事だった。
彼女は夫を愛してたが、僕も愛していた。
マディウォーターズがブルースギターを弾くように自然な事だった。
日本では春になると桜が咲くようにそれは、自然な事だった。
僕らは、その事については深くは考えてなかったのだ。
いつか、何かで別れる事は有るかも知れないが、僕は今を楽しもうと思っていた。
僕は、既に中年の域に入っていたし、この先ここまで気が合う女性がそうそう現れるとは思えなかったからかも知れない。
彼女が、既婚者だろうとそんな事は僕には全くと言って良いほど問題ではなかったのだ。
ベンチで電車を待ちながら音楽の話し映画の話し日本の奇妙な風習の話しなどを話した。
彼女は、日本での生活が短い為に日本での奇妙な風習について僕に説明を求めた。