プロポーズは朝陽を浴びて
「……もちろん、会いたかったけど」

「可愛いお前に俺様が会いに来てやったぞ」

 はい?
 思わず耳を疑った。
 わたしの知っている烈は、わたしを「お前」なんていわないし、自分のことを「俺様」なんていわない。
 このひとは誰?
 酔うと怒り上戸ではなく、俺様になる、とか?
 マジですか!?

 どや顔でふんぞり返ってる烈に、驚きを隠せない。

「いつもすみれと別れても、すぐ会いたくなる。触れたくなる。抱き締めたくなるんだよ」

「烈くん……」

 初めて呼び捨てにされたのが、酔っぱらってるときってどうなんだろう? と思いつつも、烈の気持ちを聞いて嬉しくないわけがない。
 問題なのは、いった本人が明日になっても覚えてるかなんたけど。

「お前の匂いを感じながらぬくもりを感じたい。その手を握りたい、その長い足を撫でたい」

 普段いわないような言葉で、喜ぶセリフを並べ立てる烈に心がくすぐったい。
 でも、足を撫でたいって、言葉にするとちょっと変態くさい。

「俺様だけが触れることができる、お前の弾力のあるおっぱい」

「お、おっぱ……? えっあの、ちょっと」

「いつだってお前のキツく熱いなかに入りたいと、俺様は思っている」

 一気に体の熱という熱が顔に集まるのがわかった。

「烈くん、玄関でそんなこと大きい声でダメだってば! とりあえず部屋に入って――」

「なんだ。逃げるのか?」
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