君が風邪を引いたら
「本当? なに、買ってきてくれたの?」

 蒼介は、自分が買ってきた物を確かめるように、ビニール袋をのぞきこむ。

「キムチ、ニンニクのたまり漬け、焼き肉カルビ弁当、カツカレー、スポーツドリンク」

 うわぁ。
 スタミナ系だ。
 食欲のない、いまの胃にはちょっと厳しい。

「あ、ありがとう。スポーツドリンクは、特に嬉しい」

 苦笑いしつつ、せっかく買ってきてくれたのだ。その気持ちは嬉しい。
 だけど、後で買い置きのお粥を食べよう。こっそり思う。

「スポーツドリンク飲む? わかった。他のは、とりあえず冷蔵庫入れておくね」

 わたしが頷くのを確認すると、テーブルに飲み物を置いて、冷蔵庫のあるキッチンへ向かった蒼介が、お弁当類を冷蔵庫のなかに入れながら話しかけてくる。

「寒い?」

「うん、まだちょっと悪寒が……」

 本来ならベッドから出て蒼介の相手をしなくちゃいけないのだけど、ダルさと寒気から外に出る気にはなれなかった。
 ベッドのとなりに戻ってきた蒼介が、のぞき込んできた。童顔の可愛らしい顔が近づく。

「そっか。じゃあ、俺、温めてあげる?」
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