指先からはじまるSweet Magic
彼の魔法と不意打ちのキス
道路に面した窓の外で、タイヤが摩擦する音がした。
そして続くキッと甲高い車のブレーキ音。
わずかに空気を振動させていたエンジンが止まって、その数刻後、カチッとドアが開く音が聞こえて来る。
それを確認してから、私はベッドに投げ出していた身体をムクッと起こした。
そして、部屋の窓を大きく開け放った。
裸足のままベランダに飛び出す。
柵から大きく身を乗り出して、真下の黒光りするアスファルトを覗き込んだ。
そしてそこに、街灯に照らし出されて金色に光る髪が揺れるのを見つけた。
「圭斗!」
車から降りて遠隔ロックを操作していた圭斗……塩入圭斗(しおいりけいと)が、一瞬動きを止めた。
どこか訝しそうに眉を寄せながら、顔を上げる。
ゆっくり頭上を振り仰いだ圭斗の視線が、ピタッと私に焦点を合わせた。
それを感じて、ニッコリ笑ってヒラヒラッと手を振って見せる。
「お帰りっ! 今日もお疲れ様」
街灯を直に見上げる位置で、圭斗は少し眩しそうに目を瞬かせた。
そして、フワッと表情を和らげる。
「里奈もお帰り。三日ぶりだね」
肩に掛けた大きなキャンバスバッグを掛け直しながら、圭斗は程良く色の落ちたスレンダーなジーンズのウエストに指を引っかけた。
「どこ行ってたんだっけ? 確かおばさん情報だと倉敷とか広島とか……」
「残念! 四国でした。讃岐うどん買って来たよ。圭斗、好きでしょ?」
「うん。好き」
「だから、そっち行っていい? あのね、話があるんだ」
お土産を餌に更に身を乗り出す私に、圭斗はほんの少し苦笑した。
そして続くキッと甲高い車のブレーキ音。
わずかに空気を振動させていたエンジンが止まって、その数刻後、カチッとドアが開く音が聞こえて来る。
それを確認してから、私はベッドに投げ出していた身体をムクッと起こした。
そして、部屋の窓を大きく開け放った。
裸足のままベランダに飛び出す。
柵から大きく身を乗り出して、真下の黒光りするアスファルトを覗き込んだ。
そしてそこに、街灯に照らし出されて金色に光る髪が揺れるのを見つけた。
「圭斗!」
車から降りて遠隔ロックを操作していた圭斗……塩入圭斗(しおいりけいと)が、一瞬動きを止めた。
どこか訝しそうに眉を寄せながら、顔を上げる。
ゆっくり頭上を振り仰いだ圭斗の視線が、ピタッと私に焦点を合わせた。
それを感じて、ニッコリ笑ってヒラヒラッと手を振って見せる。
「お帰りっ! 今日もお疲れ様」
街灯を直に見上げる位置で、圭斗は少し眩しそうに目を瞬かせた。
そして、フワッと表情を和らげる。
「里奈もお帰り。三日ぶりだね」
肩に掛けた大きなキャンバスバッグを掛け直しながら、圭斗は程良く色の落ちたスレンダーなジーンズのウエストに指を引っかけた。
「どこ行ってたんだっけ? 確かおばさん情報だと倉敷とか広島とか……」
「残念! 四国でした。讃岐うどん買って来たよ。圭斗、好きでしょ?」
「うん。好き」
「だから、そっち行っていい? あのね、話があるんだ」
お土産を餌に更に身を乗り出す私に、圭斗はほんの少し苦笑した。