指先からはじまるSweet Magic
「……ね、彼女。……良かったの?」
「ん? 彼女?」
「細川さん。……この後、約束してたんじゃないの?」
その場に立ち竦んだまま、なんとなく圭斗から目を逸らした。
圭斗はきょとんと目を丸くしてから、ああ、と呟いて無造作に前髪を掻き上げる。
「早く終わったらメシ行こうか、とは言ってたけど、別に約束してた訳じゃないし」
「そんな、簡単に……っ。圭斗はそれで良くても、細川さんはがっかりしたんじゃないの?」
なんで私がムキになってるんだろう。
自分でもよくわからない苛立ちで声を張り上げて、私は慌ててグッと唇を噛み締めた。
圭斗は、ポリッとこめかみを指で掻いてから、小さな溜め息をついた。
「なんか、誤解してる?」
「ただの誤解じゃないと思う。……彼女、独立した後も圭斗と一緒に働くスタッフさんでしょ?」
「まあ、そうなんだけど」
「彼女がどういう気持ちで圭斗と一緒にお店を辞めるか、とか、考えないの?」
私が本当に聞きたいことを、圭斗は微妙なさじ加減でかわしている。
それがわかるから、心が粟立って、圭斗に噛み付くように攻撃的な口調になってしまう自分が嫌だ。
非難めいた私の言葉に、圭斗もキュッと口を噤んで黙り込んだ。
そして、クシャッと自分の前髪を握り締める。
「……里奈。その先は、里奈には関係ない」
声のトーンを落として、急に素っ気なくそう呟くと、圭斗はフイッと私から目を逸らした。
「ん? 彼女?」
「細川さん。……この後、約束してたんじゃないの?」
その場に立ち竦んだまま、なんとなく圭斗から目を逸らした。
圭斗はきょとんと目を丸くしてから、ああ、と呟いて無造作に前髪を掻き上げる。
「早く終わったらメシ行こうか、とは言ってたけど、別に約束してた訳じゃないし」
「そんな、簡単に……っ。圭斗はそれで良くても、細川さんはがっかりしたんじゃないの?」
なんで私がムキになってるんだろう。
自分でもよくわからない苛立ちで声を張り上げて、私は慌ててグッと唇を噛み締めた。
圭斗は、ポリッとこめかみを指で掻いてから、小さな溜め息をついた。
「なんか、誤解してる?」
「ただの誤解じゃないと思う。……彼女、独立した後も圭斗と一緒に働くスタッフさんでしょ?」
「まあ、そうなんだけど」
「彼女がどういう気持ちで圭斗と一緒にお店を辞めるか、とか、考えないの?」
私が本当に聞きたいことを、圭斗は微妙なさじ加減でかわしている。
それがわかるから、心が粟立って、圭斗に噛み付くように攻撃的な口調になってしまう自分が嫌だ。
非難めいた私の言葉に、圭斗もキュッと口を噤んで黙り込んだ。
そして、クシャッと自分の前髪を握り締める。
「……里奈。その先は、里奈には関係ない」
声のトーンを落として、急に素っ気なくそう呟くと、圭斗はフイッと私から目を逸らした。