指先からはじまるSweet Magic
その答えを探るように、私は助手席に座ったまま運転席の圭斗をジッと見つめた。
私の不躾なくらいの視線に、さすがに圭斗も戸惑ったのか、目を瞬かせて私を見つめ返す。


「……里奈? どうかした?」


圭斗の声と、かすかに身じろぎする音だけが車内に響く。
それには答えずに圭斗を見つめ続けると、圭斗は居心地悪そうに目を伏せた。


「あの、さ。……そんなにガン見されると、ちょっと困るんだけど」

「どうして」

「どうして、って。……じゃあ聞くけど、里奈はどうしてそんな目で俺を見てるの」


そう言われて、ハッとした。
暗闇の中でも、圭斗が本気で戸惑った表情をしてるのがわかる。


そんな目。どんな目?
私は今、どういう風に圭斗を見つめていたんだろう。


わからない。わからないけど。


「そんなこと、私の方が聞きたい」


全く脈絡もなく強気で質問をぶつけると、予想通り圭斗は目を瞬かせた。


「何?」


戸惑った瞳で見つめられて、ほんの一瞬言葉に詰まる。
それでも、カラカラに乾いた喉に貼り付いた言葉を繰り出そうと、私は一度大きく深呼吸した。
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