指先からはじまるSweet Magic
そして。


「圭斗、なんで私にキスしたの」


言った瞬間、心臓がバクバクと騒ぎ出した。


「……え……?」


圭斗の方は私の言葉の意味を瞬時に理解出来なかったらしく、キラキラした瞳を大きく瞬かせた。
そして次の瞬間。


「……なっ、まさか、里奈っ……」


運転席側のドアの端っこまでズズッと背中をずらして逃げてから、大きく目を見開いた。
そして、多分、カアッと頬を赤らめたのが気配でわかった。


「……もしかして、起きてた……?」


激しい動揺を隠しきれずに、圭斗が掠れた声でそう訊ねた。
そんな素の反応を返されて、聞いた私の方が居たたまれなくなる。


「お、起きてた。って言うか、途中で気付いた」

「っ……、だったら拒むとか抵抗するとか、殴るとかしろよ!」


無茶苦茶なことを叫んで、圭斗はその口を隠すように右手で覆った。


「うわ……最悪。恥ずかし過ぎて、俺このまま死ねる……」

「ちょ、ちょっと、圭斗っ」


そのひょろ長い長身をこれでもかってくらいシートに沈み込ませる圭斗に、私は思わず身を乗り出していた。
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