指先からはじまるSweet Magic
「は、恥ずかしいのはこっちなんだけど!」

「いや、俺でしょ」

「私だってば! ……だって、圭斗がどういうつもりだったか、私は全くわからないんだし!」


私の方が焦って息が荒くなる。
大きく肩を揺らしながらそう叫ぶと、一度大きく息を吐いた圭斗が、まだどこか揺れる瞳をゆっくり私に向けた。


その妙な艶めかしさに、ドクンと大きく胸が鳴るのを感じてしまう。


「……どういうつもり、って」


圭斗が目を逸らしながら、掠れた声で呟いた。


「……里奈こそ、どういうつもりなんだよ。なんで目、開けなかった? 里奈が起きてたって知ってたら、俺だってあんなこと!」


真っ赤な顔を手で軽く隠しながら、圭斗はそう叫んだ。
圭斗が感じる究極の恥ずかしさが、私にまで伝播してくる。
そして、その一言が私の胸を大きく抉った。


「なんで圭斗がそんなに照れるのよ! 私の方が恥ずかしいし、ショックだったよ!」


説明をはぐらかすってことは、やっぱりただの欲情だったのか。
そうとしか思えないくらい圭斗がガックリしてるから、なんだか複雑でやさぐれた気分になる。


「……私は寝てたから、なんでしょ。魔が差したとか、気の迷い、とか。意味なんかなくて、ただそれだけで」

「違うっ! ……俺はっ……」
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