指先からはじまるSweet Magic
私のひねくれた言葉に、心外だと言うように圭斗は声を上げた。
そして、そんな自分を理性のギリギリで抑え込む。
キュッと唇を引き締めると、圭斗はどこか不機嫌そうにそっぽを向いた。


「……っつーか、里奈、油断し過ぎなんだよ。それって、俺相手だから?」


ひとしきり騒いでパニックも収まったのか、圭斗は乱暴に髪をクシャッと掻き上げた。


「俺だって男だよ。たとえば俺が調子に乗って、あれ以上のことしてたら、里奈、どうするつもりだったんだよ?」


苛立ちを抑えるように、圭斗はチラッと私を上目遣いに探った。
圭斗の言葉から、いろんなことを想像して、私はカアッと顔を赤らめた。


「そ、そりゃ、限度って物があるでしょ!?」

「ああ、そうか。つまり、キスならOKだったんだ。……里奈、俺とキスするの嫌じゃなかったんだ」


いけしゃあしゃあ、という態度でそういう圭斗に、思わず大きく目を剥いた。
それと同時に、いきなり鼓動が速まるのを感じた。


嫌じゃなかった。
圭斗に指摘されて、私は初めてそこに気付いた。


それって、どうして……?


今までずっと、どうして圭斗が私にキスしたのか、そればかりを考えていた。
だから、全然意識を向けられなかった。
私はどうして、あの時圭斗を拒まなかったの?


「な、何言って……!」

「間違ってないだろ。里奈、俺にされるがままになってたんだから。でもね、男はバカだから、あんな簡単に受け入れられたら、その先もオッケーだって思う」


圭斗らしくない、早口な乱暴な言い方。
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