指先からはじまるSweet Magic
日々をただ単調に過ごすだけの私と違って、圭斗はいつも私の一歩先を進んでいて、その背中がとてもとても眩しかった。
立ち止まったら、そのまま置いていかれてしまった気分で。
香織のおかげで再び交わった関係の中でも、ただ甘えるしか出来なかった。
圭斗が優しいから。
その穏やかな笑みに、いつも寄り掛かって。
再び胸に手を当てて、私はギュッと唇を噛み締めた。
このまま何もせずに時だけが通り過ぎて行ったら、また圭斗がいない日常に戻れるんだろうか。
遠ざかって行く背中を追いかけたいのに、距離は離されるばかりで。
このまま見えなくなるのをぼんやり眺めるだけで。
「あ、里奈っ。ここ、ここ!」
一本路地に入った小ぢんまりしたお店の前で立ち止まって、香織が私を手招きしていた。
ハッと我に返って取って付けたような笑みを浮かべて、私は、香織が開けたドアの中に吸い込まれるように足を踏み入れた。
立ち止まったら、そのまま置いていかれてしまった気分で。
香織のおかげで再び交わった関係の中でも、ただ甘えるしか出来なかった。
圭斗が優しいから。
その穏やかな笑みに、いつも寄り掛かって。
再び胸に手を当てて、私はギュッと唇を噛み締めた。
このまま何もせずに時だけが通り過ぎて行ったら、また圭斗がいない日常に戻れるんだろうか。
遠ざかって行く背中を追いかけたいのに、距離は離されるばかりで。
このまま見えなくなるのをぼんやり眺めるだけで。
「あ、里奈っ。ここ、ここ!」
一本路地に入った小ぢんまりしたお店の前で立ち止まって、香織が私を手招きしていた。
ハッと我に返って取って付けたような笑みを浮かべて、私は、香織が開けたドアの中に吸い込まれるように足を踏み入れた。