指先からはじまるSweet Magic
それはまさに、卒業アルバムの写真撮影の日のことだった。
私以上に気合いを入れたのはお母さんの方で、私は朝から綺麗に髪を整えてもらって登校した。
そんな私に目を付けて、からかってきたのがその男の子だ。
『何、色気づいてるんだよ~』
冷やかしの声と同時に思いっ切り髪を引っ張られた。
相手が人気者の男の子だったから、それはちょっと度を超えたスキンシップ程度にしか受け取られずに。
私一人が泣きそうになるだけで、周りのみんなは『ひど~い』と言いながら見ているだけだった。
せっかくお母さんが綺麗にしてくれた髪は、撮影前にグチャグチャにされた。
悔しくて恥ずかしくて、涙を堪えるしか出来なかった私を見つけてくれたのが圭斗だった。
『里奈、どうしたの?』
真っ赤な顔をした私に、圭斗が驚いた顔で駆け寄ってきた。
そして、その日私のクラスの写真撮影だと知って、その端正な顔を少し悔しそうに歪めた。
そんな表情はほんの一瞬で。
『大丈夫。俺が直してあげるから、里奈、泣かないで』
柔らかく微笑んだ後、驚くくらい鮮やかに、その手で私の髪をとても綺麗に結い上げてくれた。
『ほら。里奈、お姫様みたいだ』
そう言って、どこか自慢げに胸を張ってはにかんだ圭斗の笑顔。
その様子を見ていたクラスの女子から、わああ、と歓声が上がった。
それにつられて、私は最初はぎこちなく、だけどすぐに満面の笑みを向けた。
圭斗が直してくれたおかげで、表情はともかく、卒業アルバムにこんなに綺麗に映っている。
私以上に気合いを入れたのはお母さんの方で、私は朝から綺麗に髪を整えてもらって登校した。
そんな私に目を付けて、からかってきたのがその男の子だ。
『何、色気づいてるんだよ~』
冷やかしの声と同時に思いっ切り髪を引っ張られた。
相手が人気者の男の子だったから、それはちょっと度を超えたスキンシップ程度にしか受け取られずに。
私一人が泣きそうになるだけで、周りのみんなは『ひど~い』と言いながら見ているだけだった。
せっかくお母さんが綺麗にしてくれた髪は、撮影前にグチャグチャにされた。
悔しくて恥ずかしくて、涙を堪えるしか出来なかった私を見つけてくれたのが圭斗だった。
『里奈、どうしたの?』
真っ赤な顔をした私に、圭斗が驚いた顔で駆け寄ってきた。
そして、その日私のクラスの写真撮影だと知って、その端正な顔を少し悔しそうに歪めた。
そんな表情はほんの一瞬で。
『大丈夫。俺が直してあげるから、里奈、泣かないで』
柔らかく微笑んだ後、驚くくらい鮮やかに、その手で私の髪をとても綺麗に結い上げてくれた。
『ほら。里奈、お姫様みたいだ』
そう言って、どこか自慢げに胸を張ってはにかんだ圭斗の笑顔。
その様子を見ていたクラスの女子から、わああ、と歓声が上がった。
それにつられて、私は最初はぎこちなく、だけどすぐに満面の笑みを向けた。
圭斗が直してくれたおかげで、表情はともかく、卒業アルバムにこんなに綺麗に映っている。