指先からはじまるSweet Magic
広々としたリビングルーム。
質が良くて品のあるちょっと個性的なインテリアがセンス良く並べてあって、まだそれほど生活感は感じられないけど。


「ひ、一人で住むの、勿体なくない?」


私の後からリビングに入って来た圭斗を振り返った。
私は、見て感じたことを、そのまま素直に声に出していた。


リビングに続く廊下にも、用途のわからないドアが一つあった。
その上、この奥にも二つドアがある。


ワンルームどころか……これって、ファミリー物件なんじゃないの!?と、妙にドキドキする。
そんな私に、圭斗は、ああ、と涼しい声を上げた。


「店の関係で、荷物も多くなるしね。せっかく独立を機に家を出たことだし、他のことももうちょっと頑張っておこうって思ってさ」


ニコッと笑いながら、圭斗が私に近寄って来る。
その気配に、私は更に身体を強張らせた。


「里奈」


後ろから近付いた圭斗が、私の肩にそっと手を載せる。
それと同時に、私はビクッと身体を竦めた。


「もっと一緒にいたい、って、言ってくれたよね?」


誘導するような言い方に、鼓動が警鐘に聞こえるほど打ち鳴り始めた。
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