指先からはじまるSweet Magic
圭斗は一瞬きょとんと瞬きしてから、だから、と言い返した。


「端折って無理強いしないように、一応下見に連れて来たつもり……だったんだけど」

「……え?」


どこか困惑に揺れる圭斗の声に、私は目を丸くして顔を上げた。


「いや、だから。……さすがに俺も、今、即決を促すつもりはないんだけどね」


細めた目を妖艶に光らせる。
私の心臓は一々反応して、その度に大きな鼓動を打ち鳴らす。


「里奈、ここで俺と一緒に住まない?」

「へ?」


全く予想外の圭斗の言葉に、私は文字通り目を点にした。
圭斗はただ邪気もなくニコニコしている。


「……一緒に」


その意味を、どう捉えていいんだろう。
よくわからなくて、私は素で目を丸くして圭斗をジッと見上げた。


「そう。里奈も、もっと俺と一緒にいたいって言ってくれたから……。本当はもうちょっとしてから言うつもりだったんだけど、里奈から言われたら抑えられなくなった」


照れたようにはにかむ圭斗を、私はただバカみたいに見つめる。


「ルームシェア……ってこと?」


ぼんやりと抑揚のない声で呟く私に、圭斗は苦笑を浮かべた。


「出来れば……。それよりちょっと色気のある……将来を意識した状態で」

「っ……」
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