モテない俺は顔が悪い訳ではない。



「そういえば」


皆川さんはお弁当を食べている手を止めて俺を見る。


「なんで詩織のこと知ってたの?」


「え…?なんでだろ…。」


急な質問に動揺してしまった。


ぶっちゃけ本当に分からない。


「真中さん。どこかで俺と会ってる?」


そんな質問を真中さんにした。


一瞬だった。

ほんの一瞬。

彼女は少し顔を歪ませた。


ズキンッ。
そう表せられる胸の痛みがかすかにあった。


「さぁ?でも、中谷くんに知っててもらえたこと、本当に嬉しいよ。」


そう言って笑う彼女。

でも俺は知っている。


“この笑顔が偽物だということを”


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