モテない俺は顔が悪い訳ではない。
キーンコーンカーンコーン…
授業の終わりを知らせるチャイムが鳴る。
「じゃあ号令。」
「きりーつ。気をつけ、れい。」
号令の終わりと共に生徒が動き出す。
俺は大声で俊太を呼ぶ。
「俊ちゃーん」
「きしょい。その呼び方やめろ。」
皆川さん限定ってやつ?
けっ。羨ましいぜ。
「屋上行こうぜ。」
「ういーす。」
気だるい返事をして屋上に向かう。
生徒が賑わう廊下を、俺は弁当を持って俊太と歩く。
え?なんで俊太が弁当持ってないかって?
けっ。愛妻弁当だからだよ!!!
「声がだだ漏れなんだよ!」
顔を赤くしてキレている俊太。
「さーせん。でさぁ。」
「適当だな…。まぁいい。なに?」
「俺、思い出したくねーのかな?」
ふとそんな気がした。
「さぁな。でも思い出すのはお前次第だろ。」
「だよなー。あ!」
俺は真中さんを見つけて声をあげる。
「ま…」
呼ぼうとしたがやめた。
「どした?」
俊太は不思議そうに俺を見ている。
「あー…なんでもね。」
俊太は真中さんが居ることも知らなければ、真中さんが男子と仲良さげに話しているのも知らない。
はぁ…。
「嫉妬深い男は嫌われるんだよな…」
「おい。俺に言ってんのか?」
「滅相もございません。」