モテない俺は顔が悪い訳ではない。
「ま、私が言う話じゃないんだよね。」
「あり…?」
「思い出すのは自分。私が言えるのは、春樹くんと私は出会ってたって事だけ。」
「えー?」
「だって忘れちゃったって事は、消したい何かがあったんだろうね。それは私も分からないし、それで春樹くんを苦しめたくない。」
彼女はまっすぐに俺の瞳を見つめる。
「でもまぁ、私が春樹くんの目の前に現れた時点で、もう苦しめてるのかな…。」
笑顔で話す真中さん。
やめてくれ…
「ごめんね。」
やめてくれ…
「さ!ご飯食べちゃわないと!」
やめてくれ…!!
「どしたの?中谷く…」
「笑うなよ。」
「え…?」
「頼むから、切なそうに笑わないで…。」
こんなにも胸が痛くなるなんて…。
なんだか俺が泣きそうで…。
ふと自分の手先を見つめる。
「じゃあ…」
涙混じりの声が、俺の耳に突き刺さる。
「どんな顔すればいいの…?」
顔をあげて彼女を見るが、彼女は俯いていた。